抗ウイルス薬
抗ウイルス薬の開発は抗生物質に比べ50年ほど遅れました。
最初に世に出たのは、ヘルペスウイルスに対するアシクロビル、続いてサイトメガロウイルスに対するガンシクロビル。
やや遅れてHIV(エイズウイルス)に対する薬が開発されました。
待望久しかったインフルエンザウイルスに対する薬やB型・C型肝炎ウイルスに対する薬が使用できるようになったのは20世紀もぎりぎり押し詰まった1998年から1999年ころです。
これほど抗ウイルス薬の開発に時間がかかったのは、選択毒性を実現するのが非常に困難だからです。
詳しい話は省きますが(話し出すととても長くなるので)、ウイルスはヒトの細胞にしっかり組み込まれて生きているので、ヒトの細胞を傷つけずウイルスだけ攻撃するのが難しいのです。
このような事情があるので、今でも有効な治療薬のあるウイルスは少数で、大半のウイルスには薬が効きません。
たとえば、最もありふれたウイルス感染症である風邪の原因ウイルス(アデノウイルス、ライノウイルスなど数十種類あります)に有効な抗ウイルス薬はまだ存在しないのです。
そんな中で、ウイルスによる性感染症の代表であるヘルペスに効く薬があるのはラッキーです。
この薬は抗ウイルス薬の中では選択毒性が高い方なので、医者もわりと安心して処方できます。
抗ウイルス薬についてもう一つ、ぜひお話ししておきたいことがあります。
HIV治療薬のことです。HIV感染(エイズ)は今でも死病と信じられています。
しかしこの常識は間違いです。
現在では、毎日きちんとHIV治療薬をのみ続ければ30年、40年にわたって生き続けることが可能なのです。
ただしこのためには、早期発見して早いうちから(症状の出ないうちから)治療を始めなければなりません。
エイズが怖くて検査を受けないという人がいますが、それは逆です。
エイズになってしまったら怖いから、きちんと検査を受けて、万が一感染していたらすぐに治療を始めるのです。
その他の感染症治療薬
病原体には細菌とウイルスのほか、真菌や寄生虫(原虫)もいます。
婦人科の分野で一番多いのはカンジダ(真菌の仲間)とトリコモナス(寄生虫の仲間)です。
それぞれ、専用の治療薬があります。
普通の抗生物質や抗ウイルス薬は効きません。
実を言えば、抗真菌薬や抗寄生虫薬は選択毒性が低く、副作用が出やすい薬です。
医者としては(もちろん患者さんの立場でも)、できれば使いたくない。
ただ幸いなことに、カンジダやトリコモナスは膣にだけ感染していることが多いので、のみ薬(胃腸から吸収されて全身に回る)でなく膣錠を使えます。
膣の中に入れ、膣だけに効かせる薬です。
これなら、副作用は少なくてすみます。





キャンペーン実施中!採用・登録で5000円プレゼント